2010年3月31日水曜日

携帯電話会社のロゴを比べてみる

携帯電話会社は、経営母体の統合や、ブランディング戦略の方針転換などが多く、
時代とともにめまぐるしく変化する業界のため、
ロゴのリニューアルがもっとも多い業界だと言えるでしょう。


最近ですと、NTTドコモのロゴがこれまでのドコモのイメージとは全く違うものになり、
ちょっとした話題になりました。

携帯電話にはソフト・ハード共に常に「新しさ」が求められる状況が今でも続いていて、
ものすごいスピードで、ロゴも消費されてしまいます。
あっという間に手垢がついてしまうのです。

そんな中で、各社のとったブランディング戦略の中で現在のロゴデザインに与えた影響を
簡単に分析してみたいと思います。



まずはドコモ。





私はこのロゴの造形には違和感を感じます。
その理由は、一文字一文字を単純化しすぎて、「文字」という感じがしないからです。
ロゴタイプは文字で構成されているのですから、最低限「書き順の流れ」を感じさせるべきだと思います。
かろうして、最初の「d」の部分は下部の曲線には「流れ」を感じますが・・・。
まあ、これまでのドコモのブランドイメージを変革することが目的でのリニューアルだったようなので、その点においては成功していると思いますが。


次にau。








二文字だからというのもありますが、認識性・使いやすさと言う点において優れたロゴです。
この二点においては、3社中一番でしょう。
単純に見えて、一文字一文字の造形はドコモのロゴよりも複雑な線で構成されています。
オレンジというイメージカラーも、他と競合しにくいという点でよい選択だと思います。


最後にソフトバンク。



文字部分は、既存の書体を微調整したものだと思われます。
これは推測ですが、ソフトバンクのロゴタイプは、
「ロゴ」が速いスピードで消費されてしまうことを計算に入れて制作されたのでは、と思います。
個性の強いロゴは、街にあふれかえった途端に手垢がつきます。
それですぐに安っぽく、古くさくなってしまいます。
それならいっそのこと、オーソドックスなフォントで作った方がよいと判断したのではないでしょうか。
これは、ロゴが消費されることを防ぐための最良の手段だと思います。

2010年3月27日土曜日

ロゴリニューアルの難しさ1

大企業(特に大型店舗)のロゴ・シンボルマークのリニューアルは、普段消費者の目にとまることが多いだけに、私達の生活にも多少なりとも影響します。
品質の低いロゴがあふれかえった街には住みたくないと私は思います。

今回取り上げるのは「ダイエー」です。確か5~6年くらい前(?)にリニューアルされました。

旧ロゴはデザインの教科書にも載るような名作としてデザイン業界では評価されています。

円を切り取って「D」の形を表す、シンプルで力強いイメージです。










リニューアル後は、さわやかで信頼感・清潔感を感じさせるイメージです。









ロゴとしての完成度は、旧ロゴの方が圧倒的に勝っている、と私は思います。

しかし、だからといって、リニューアルが失敗だったとは思いません。
旧ロゴの方は、主張が強い造形であるだけでなく、消費者が「ダイエー=経営状態が悪化している古い形態のスーパー」として、このロゴと共にイメージしてしまっている風潮がありました。
今回のロゴリニューアルは、「これまでのダイエーのイメージを違うものにしたい」という点において成功していると思います。

ただ、そのために「名作」ロゴを捨ててしまうことになったのが、先々考えたときに良い結果になるのかは不明です。

リニューアル後のロゴは、その完成度において長くは使えないクオリティだと思います。