2011年1月31日月曜日

スターバックスロゴのマイナーチェンジ

今回は比較的最近の話題を。
「スターバックス」ロゴのマイナーチェンジについて
解説してみたいと思います。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-18899520110106
報道によると、本国では否定的な意見が多いとのことでした。



上の図は、スターバックスのサイトに掲載されていた、ロゴの変遷図です。
初期の2つについては、人魚の尻尾部分がちょっと「グロい」と感じさせるし、
イラスト部分の認識性が低い(細かすぎる)ため、後期の2つとくらべて
よいデザインであるとは思いません。

さて、問題は先日の報道で話題になった後期の2つです。
個人的には今回の「否定的な意見が多い」ということに関しては、
前回のエントリで書いたように「慣れ」の問題であり、もうすこし言えば「愛着」の
問題であると考えます。


新しいロゴに変えることで、以下のような利点があると思います。

・シンプルになって、デザインが洗練された
・汎用性がかなり高くなった(状況に応じて「COFFEE」の文字を入れることもできるし、入れないこともできる)
・コスト削減効果(2色→1色 ※リニューアルに伴う初期費用を考えても、長期的に見ればかなりのコスト削減になる)


基本的な原則として、大企業ほど汎用性の高いロゴが求められます。私も学校で講師(巨匠クラスのデザイナー)から「企業ロゴ・シンボルマークは名刺に使う数ミリの大きさから、数十メートルの看板にも使えるものでなくてはならない」と教わりました。これが、大企業のロゴ・シンボルマークがシンプルであることの多い理由です。そしてシンプルゆえに、ごまかしのきかない高い造形力が必要になるのです。


●スターバックス(リニューアル)

造形:★★
テーマ表現:★
汎用性:★★★☆

※5点満点





2011年1月28日金曜日

久々の更新〜GAP騒動について

少し古い話題ですが、今回は「GAP」ロゴリニューアル騒動について
考えてみたいと思います。

たいていの場合、大企業のロゴリニューアルに関する賛否両論は「慣れ」の問題が
大きく、ロゴそのもののクオリティの低下ではないケースが多い印象を受けます。

いかに先入観を取っ払って、見ることができるか。
それができなければデザインの品質を正当に評価することは不可能です。

ただし、デザインにおいて「時代の空気感」は重要な要素なので、
純粋なデザイン品質を理解したうえで、「今の人々にどのように映るか」を
適切に判断することが必要なのです。

さて、それらを踏まえたうえで「GAP」のロゴを見てみましょう。
右が今回ブーイングによってボツになった、新ロゴです。



一見してわかる違いとして、「新しいロゴの方が書体に個性がない」と思われることが
挙げられると思います。新ロゴの書体は、世界で一番使用されている書体、
ヘルベチカです。
現行ロゴの方は、既存のフォントの可能性もありますが、オリジナルの書体かもしれず、
他で見ることがあまりない書体です。
ヘルベチカは有名企業のロゴでもかなり頻繁に使用されていますし、
その汎用性と美しさにより、デザイナーから最も評価の高い書体のひとつです。

ですので、新ロゴの問題は書体の品質の問題ではなく、書体の扱い方の問題と
言えるでしょう。

はっきり言ってしまえば、「GAP」ロゴの問題は、プロがいちいち指摘することもなく、
単に「安直」で「誰にでも作れそう」なものだったので、ここまでのブーイングを
浴びたということです。

新ロゴは「汎用性」という点では優れていますが、「個性」「デザイン品質」が
あるとは思えません。ダメなデザインとまでは言いませんが・・・。
ヘルベチカはMacに搭載されていますから、学生でも作れてしまいそうです。

今回に関しては、新ロゴをボツにして正解だったと言わざるを得ません・・・。
かといって、現行ロゴが「名作」かと言われれば、そうではないと思いますが・・・。


●GAP(現行)

造形:★★
テーマ表現:★
汎用性:★★★

※5点満点