2011年4月19日火曜日

たまにはサブカル系も〜『とある魔術の禁書目録(インデックス)』

本ブログは、取り上げる内容に特に制限はなく、要望があれば大抵のロゴについて解説するというスタンスです。ただ、そのロゴ自体にあまり語るべき要素が見つからないときは見送ることもあります。映画や漫画、アニメなどに関しては以前からけっこう要望があったのですが、個人的に語るべき内容が思いつかなかったので、見送ってきました。単に「良い・悪い」だけを述べてもおもしろくないと思いますので・・・。


先日、下のシリーズもののアニメ作品のロゴについてどう思うか、聞かれることがありました。





ロゴの造形自体についてはあまり語るべき事はあまりないと思ったのですが、面白いと感じたのはこれらのロゴの二次創作がネットなどで流行しているということです。

先にロゴ自体のデザインについて解説すると、品質自体は高いとは言えません。使用書体は「小塚明朝体B」を加工したのもです。品質上一番問題となるのは、元の書体の加工方法です。一般的に既存書体を加工してロゴを作るときは、その文字が本来持っている品質をなるべく維持することが前提となります。しかし、このロゴは「小塚明朝」を縦横に自由に大きく拡大縮小してしまっているため、明朝体を構成する直線・曲線に無理が生じてしまっています。このような雑な加工をすると、文字全体が持っていた統一感やバランスが大きく崩れます。もし、加工をするのであれば、文字の各要素(線やハネ、ハライ等)一つずつを無理のない様に手間を掛けてひとつひとつ手を加えていきます。まあ、そこまでやる時間がなかったのかもしれません。

同シリーズの下記ロゴは、文字の比率を変えていないようですので、上記のような問題はありません。




これらのロゴは、上記のようなプロセスによって、けっこう安易にに作られたため、二次創作がつくりやすいという側面があります。もしかして、そういうことを狙って作ったロゴなのか…?とも思ってしまいます。そんなわけで、とりあえずロゴそのものを真似して作ってみました。





下のカタカナ部分は「小塚ゴシックB」です。「小塚書体」はIllustrator等のAdobe製のプロフェッショナル用ソフトを買えば付いてきますので、他のプロ向け書体と比べれば比較的手に入れやすいと言えます。各文字の変形の割合を記しておきますので、興味のある方は二次創作の参考にしてみてください。ウェブ上の画像を元にしたので、100%正確ではないかもしれませんが、ほぼ正確なものが作れるはずです。


※「の」を100%ととした場合の各文字の変形度合い

「と」――横:125% 縦:125% 
「あ」――横:  75% 縦:  75% 
「る」――横:  60% 縦:  60% 
「魔」――横:100% 縦:115% 
「術」――横:  85% 縦:105% 
「禁」――横:105% 縦:  85% 
「書」――横:  85% 縦:  95%
「目」――横:  95% 縦:  93% 
「録」――横:115% 縦:  77% 
「II」――  横:170% 縦:120%


「二次創作してみたくなるロゴ」を狙って作るのも、マーケティング的にはアリなのかもしれません。


※ちなみに筆者は、このアニメを見たことはありません。あくまでロゴだけを見たときの解説としてご参照ください。



●とある魔術の禁書目録

造形:★
テーマ表現:★
汎用性:★★

※5点満点