2011年7月8日金曜日

Panasonicのロゴが2種類?の謎

最近トイレのウォシュレットを買い換えたのですが、先日トイレに入ったときに「Panasonicのロゴってこんなのだっけ?」と少し違和感を覚ました。というのは、いつも仕事で使用しているFAX機がPanasonic製なのですが、FAXに表記されているロゴとウォシュレットのロゴが微妙に違うと感じられたのです。


 
 (左:ウォシュレット / 右:FAX機)



明らかにFAX機のほうが文字と文字の間隔が広いのが認識できると思います。(文字の太さも違うように見えますが、これは印刷機などの差だと思います)
ウォシュレットとFAX機では買った時期が違う(FAX機を買ったのは2年ほど前)ので、最初はロゴを「マイナーチェンジ」したのかと思いました。大企業のロゴは時代の志向に合わせて普通には気付かれない程度のマイナーチェンジをすることが珍しくないからです。
そこで、とりあえず身の回りのものをいくつか調べてみました。

   
 
 (左:ビデオのリモコン[2002年製]/ 右:ニッケル充電池[00年代前半に購入])


   
 
 (左:ボタン型電池[2004年頃購入]/ 右:上記FAX機の取扱説明書[2009年製])



やはり、文字の間隔が「くっつき型」と「はなれ型」の2種類があるようです。この場合、「はなれ型」はボタン電池のみです。興味深いのはFAX機で、本体のロゴが「はなれ型」なのに取扱説明書は「くっつき型」であることです。
しかも、このことで、ロゴデザインの違いが年代による違いではないことが確認できました。古いビデオのリモコンやニッケル充電池のロゴも「くっつき型」なので、「古いロゴがはなれ型」とうことではないようです。

さらに、近所のPanasonicショップの看板を確認したり、大型電気店でPanasonic製品をひと通り確認してみました。その結果、全体としては「くっつき型」が主流のようです。ジャンル別の商品カタログに使用されているロゴや、店内のPOP、ウェブサイトのロゴも「くっつき型」です。




左:Panasonicショップ / 右:カタログ)



               ウェブサイト




それでも例えば、同じ電池でも「EVOLTA」シリーズは「くっつき型」、カメラ用のリチウムイオン電池は「はなれ型」だったり、家電でも洗濯機は「くっつき型」で、電話やFAX機は「はなれ型」、電気ポットも「はなれ型」、テレビは「くっつき型」などの違いがあり、「2種類のロゴを意図的に使い分けている」という意図や法則性は感じられませんでした。

考えられる可能性としては、製造/印刷工場によって違いが生まれている、ということです。通常、大企業においてはロゴの使用方針などが厳格に定められていますが、一部の工場ではかなり古いロゴ(たぶんはなれ型)を気づかずに(もしくは、製造ライン上のコストの問題で?)使用し続けているのだと思われます。確認はできていないのですが、「はなれ型」の方が古いロゴで、しかもそれは少なくとも十数年以上前のものだと推察できます。これについては、分かり次第この場でお知らせしたいと考えています。




身の回りのものに目を凝らすと、このような小さな発見(でも色々な背景が想像できる)があるかもしれません。ちょっと注意してロゴを見てみると面白いですよ。


2011年5月16日月曜日

東京電力のシンボルマーク

今回は久しぶりに名作ロゴを取り上げます。


現在、ニュースを賑わしている「東京電力」です。






このロゴ(シンボルマーク)は、プロのデザイナーであれば知らない人はいないほど有名な名作ロゴのひとつで、デザインの教科書にはかなり高い頻度で取り上げられています。デザインをしたのは巨匠永井一正氏。国家事業や巨大企業、県や市町村のマークなど、数多くの有名ロゴを手がけています。そのなかでも、東京電力のマークは最高傑作のひとつでしょう。構成要素が円だけでここまでのインパクトと造形美を感じさせるロゴマークはなかなかありません。


さて、このシンボルマークについて「このマークは中性子とウランの核分裂反応をあらわしている」という噂がネットの書き込みで見られました。その書き込みを転載しますと、



>テプコマークは中性子とウラン原子の核分裂反応
>を模式的に表しているんだよ
>ちょっと物理をかじってればわかるよねw

>下の大きな赤マルがウランで白抜きの丸が
>中性子の抜けたあと
>上の3つの赤マルは、1つはウランにぶつかった中性子
>後の2つが、ウランから飛び出した中性子
>昔はその通りに経過を表したアニメーションでCMもやっていた


ということです。私は、知人から「これ本当なの?」と聞かれました。
この噂の内容はけっこう説得力があるので本当に「そうなのかな」と思わせられてしまいます。アニメーションのCMも動画投稿サイトなどで見ることができます。そこで、手持ちの資料をあたってみると、『VISUAL DESIGN2 Typography & Symbol Mark』(JAGDA編/六耀社刊/1993)と『+DESIGNING』11号(毎日コミュニケーションズ刊/2008)にシンボルマークの制作経緯が載っていました。


より詳しく載っていたのは『VISUAL DESIGN2』の方で、製作者である永井氏自身の解説とともに、不採用となった試作案も同時に掲載されています。


「…円の組み合わせによって構成されているが、円は柔軟な心、環境との調和、未来への広がりを表わし、マークの色彩は真紅とし、活気、親しみやすさ、明るさを表わした。全体として東京電力の総合力、ダイナミズムを表現できたと思う。」(『VISUAL DESIGN2 Typography & Symbol Mark』)



試作案『VISUAL DESIGN2 Typography & Symbol Mark』より転載



解説と試作案を見ると、必ずしも最初から「核分裂反応」を意識して作ったものではないことが分かると思います。使用されている円の数もそれぞれ違います。

『+DESIGNING』の方にはこのように解説されています。(記事の内容から、マークについて永井氏に直接取材をして書かれた解説だと推察される)

「…6つの円形(人間同士のつながり=輪を思い起こさせる)を東京電力の頭文字である「T」のかたちに配置。赤を基調にすることで、表情に温かみが加わった。」(『+DESIGNING』11号)

つまり、これらの資料からは、上記の噂が本当であることは確認できませんでした。
すくなくとも公式発表としてはそのような情報はなかったと言えるのではないでしょうか。

しかし、これらの情報はあくまで公式の発表なので、実際のところはどうかはわかりません。いろいろ憶測はできますし、マークが発表された当時の文献や東京電力の原子力関連のPR活動等などを調べれば、もっと詳しい情報がわかるかもしれません。

仮に、上記の噂が本当だったとしても、マークそのものは歴史的な名作であるという事実は変わりません。



造形部分について少し解説しますと、真ん中の白い丸と上部の赤い丸の大きさが違うように見えます。白い丸のほうが大きく見えますが、実勢に計測してみたところ、同じ大きさの円のようです。通常、大きさを揃えたい場合は、目の錯覚を考慮して、どちらかの丸の大きさを微調整して同じに見えるようにすることが多いです。そうしていないということは、白い丸が大きく見えている状態がよい、という判断がされている可能性があります。確かに、丸の大きさではなく、赤と白の全体のバランス・緊張感に着目してみると、白丸が大きくみえる状態のほうが力強さを感じさせると思います。

2011年4月19日火曜日

たまにはサブカル系も〜『とある魔術の禁書目録(インデックス)』

本ブログは、取り上げる内容に特に制限はなく、要望があれば大抵のロゴについて解説するというスタンスです。ただ、そのロゴ自体にあまり語るべき要素が見つからないときは見送ることもあります。映画や漫画、アニメなどに関しては以前からけっこう要望があったのですが、個人的に語るべき内容が思いつかなかったので、見送ってきました。単に「良い・悪い」だけを述べてもおもしろくないと思いますので・・・。


先日、下のシリーズもののアニメ作品のロゴについてどう思うか、聞かれることがありました。





ロゴの造形自体についてはあまり語るべき事はあまりないと思ったのですが、面白いと感じたのはこれらのロゴの二次創作がネットなどで流行しているということです。

先にロゴ自体のデザインについて解説すると、品質自体は高いとは言えません。使用書体は「小塚明朝体B」を加工したのもです。品質上一番問題となるのは、元の書体の加工方法です。一般的に既存書体を加工してロゴを作るときは、その文字が本来持っている品質をなるべく維持することが前提となります。しかし、このロゴは「小塚明朝」を縦横に自由に大きく拡大縮小してしまっているため、明朝体を構成する直線・曲線に無理が生じてしまっています。このような雑な加工をすると、文字全体が持っていた統一感やバランスが大きく崩れます。もし、加工をするのであれば、文字の各要素(線やハネ、ハライ等)一つずつを無理のない様に手間を掛けてひとつひとつ手を加えていきます。まあ、そこまでやる時間がなかったのかもしれません。

同シリーズの下記ロゴは、文字の比率を変えていないようですので、上記のような問題はありません。




これらのロゴは、上記のようなプロセスによって、けっこう安易にに作られたため、二次創作がつくりやすいという側面があります。もしかして、そういうことを狙って作ったロゴなのか…?とも思ってしまいます。そんなわけで、とりあえずロゴそのものを真似して作ってみました。





下のカタカナ部分は「小塚ゴシックB」です。「小塚書体」はIllustrator等のAdobe製のプロフェッショナル用ソフトを買えば付いてきますので、他のプロ向け書体と比べれば比較的手に入れやすいと言えます。各文字の変形の割合を記しておきますので、興味のある方は二次創作の参考にしてみてください。ウェブ上の画像を元にしたので、100%正確ではないかもしれませんが、ほぼ正確なものが作れるはずです。


※「の」を100%ととした場合の各文字の変形度合い

「と」――横:125% 縦:125% 
「あ」――横:  75% 縦:  75% 
「る」――横:  60% 縦:  60% 
「魔」――横:100% 縦:115% 
「術」――横:  85% 縦:105% 
「禁」――横:105% 縦:  85% 
「書」――横:  85% 縦:  95%
「目」――横:  95% 縦:  93% 
「録」――横:115% 縦:  77% 
「II」――  横:170% 縦:120%


「二次創作してみたくなるロゴ」を狙って作るのも、マーケティング的にはアリなのかもしれません。


※ちなみに筆者は、このアニメを見たことはありません。あくまでロゴだけを見たときの解説としてご参照ください。



●とある魔術の禁書目録

造形:★
テーマ表現:★
汎用性:★★

※5点満点








2011年3月28日月曜日

Google Chrome ロゴリニューアル

先日、Google Chromeのロゴがリニューアルされるとの発表がありました。



以前のものにくらべ、平面的になり、シンプルになりました。
それでも、グラデーション処理や影がつけられていて、立体感がまったくなくなったわけではありません。これまでのロゴとくらべて、完成度はどうでしょうか。


これまでのロゴは、はっきり言って全然よいとは思いません。ちょっと未来的なメカを感じさせるのに、かっこよくないし、質感に説得力がありません。
質感に関しては、デジタルで制作するときには気をつけるべきです。なぜなら、デジタルで制作する場合、「この世に存在しない材質」も画面上で作れてしまうからです。「そんなのデジタルならではの良さなのでは」と思う方も多いかと思います。しかし、人がそのデジタル制作物を見るときに「存在しない材質」には必ず違和感を感じます。Chromeの旧ロゴの質感にも違和感を感じないでしょうか。このロゴが表現している材質は「金属」なのか「プラスチック」なのかよくわかりません。真ん中の光っているものは、もっとわかりません。たぶん、制作した人も明確には答えられないと思います。「何なの?」と聞かれたら「なんとなく」と答えが返ってきそうです。もし、何かをモチーフとしていたとしても、はじめて見た人には分からない以上、それは完成度・説得力が高いとは言えません。

では、リニューアル後のロゴはどうでしょうか。個人的にはだいぶましになったと思います。シンプルになってより「記号的」になったために、質感についての違和感はかなり払拭されました。しかし、中途半端な半立体的処理はよくないと思います。ちょっと一昔前に流行ったweb2.0的な感じがして、「いまさら感」がとても感じられます。
ソフトウェアのアイコンである以上、ある程度の立体的処理は仕方ないと思います。OS自体が画面の奥行きを意識した、設計であるからです。しかし、立体にする以上は、質感の説得力がとても大切になります。
Chrome自体は優れたソフトなので、ちょっともったいない気がします。



●Google Chrome(リニューアル後)

造形:★☆
テーマ表現:★
汎用性:★★

※5点満点