2013年4月2日火曜日

ヤフオク! のロゴ


Yahooオークションが、「ヤフオク!」という名称に変更されたのを機に
ロゴが制作されたようです。





印象として感じたのは
「落ち着きのなさ」と「違和感」でしょうか。

完成度は高いとは言えないと思います。「ラインを揃えてロゴとしてのまとまりを出す」
「斜め上に向かう直線によって勢いを演出する」とういう考え方はよくわかります。しかし、「文字」としての完成度が低いために、「かっこわるい文字」に見えてしまいます。「ラインを揃えてまとまりを出す」といっても、単に直線上に揃えても、錯視により、揃っているようには見えません。
この場合「フ」の縦線が下に飛び出しているように見えませんか?
「ク」の字が少し下がっているように見えませんか?

通常だと、錯視の補正や筆順を意識させるための細かい調整を行います。目で見てそうとわからないレベルで、線の太さを変えたりする作業です。しかし、このロゴの場合はそのような調整は施されていません。すべての線が同一の太さで構成されている、図形的なロゴです。

全体として言えることは、一時的なキャンペーン用のロゴとしてなら問題ないかもしれませんが、長く使うためのロゴとしては完成度が足りていないと感じました。

個人的には下のキャッチコピーのフォントも良くないと思います。均質に見えるモダン系ゴシック体フォントなので、コピーが長いと瞬時に文章を読み取るのが難しくなるからです。

2012年6月13日水曜日

「570万円」のロゴ(ロンドン芸術大学)


—「570万円のロゴ」
最近ネット等で話題になった、「570万円」のロゴ(ロンドン芸術大学)。これについてはどのように考えればよいのでしょう?








ロゴデザインとして言えば、「歴史的名作」でないことは確かだと思います。しかしクオリティは高いです。文字同士の細かいスペーシングが、全体の緊張感を生んでいます。では、570万円という金額はどうでしょう? これについては何とも言えない部分があります。通常、大きなクライアントの案件であれば、ロゴ制作のための打ち合わせ・プレゼンだけでもかなりの回数を重ねるでしょうし、提出されたロゴが使用された場合のイメージ画像(名刺やレターヘッド、看板、社用車、段ボール箱など)を制作して、無数の検証を重ねるでしょう。そしてロゴが決定したら、数十ページにも及ぶ、用途別の「ロゴ使用マニュアル」を制作するでしょう。そうなれば、プロジェクトのスタートから決定まで、かなりの年月を要することになり、そこに570万円を支払ったとしても「高い」とは言えないのではないでしょうか。このロゴの場合、どこまでの範囲で570万円支払ったのかがよくわからないため、何とも言えないのです。ただ、大きな企業や公共事業であれば「570万円」という金額はそんなに驚くような金額ではないと考えます。もっと大きな金額のものもたくさんあるでしょう。
単に安く済ませるだけなら公募によるコンペ形式がよいでしょう。賞金100万円も出せば、かなりの応募が集まるでしょうから。しかし、そのようにして採用されたロゴが「名作」になりえるかどうかは、そのロゴの運用方法にかかっている部分も大きいのです。やはりその場合も厳格なロゴ使用の規定を策定する必要があり、そこにはそれなりのコストがかかるのです。

渋谷ヒカリエのロゴ


—渋谷ヒカリエ
東京スカイツリーとともに新たな東京の観光スポットとして、話題の「渋谷ヒカリエ」。







肝心のロゴはどうかというと、「ふつう」と個人的には感じています。ぱっと見た感じでは、文字の下部がカットされていて、「ちょっとおもしろいな」という印象はありますが、全体としては特に個性もなく、すごい完成度でもなく、「可もなく不可もなく」と思ってしまいました。「渋谷の新スポット」として騒がれている割には、ロゴは「新しさ」や「挑戦」が感じられません。これだったら、以前とりあげた「六本木ヒルズ」やその後にできた「表参道ヒルズ」のロゴの方が「新しさ」や「挑戦」が感じられます。








「ヒカリエ」を「新たな観光スポット」ではなく「百貨店」として考えると、このようなデザインになったことに理解がしやすいかもしれません。実際、運営業者は東急グループです。
「百貨店」はユーザーとして幅広い年齢層をカバーしなくてはなりません。そのなかでも「高齢者」は特に重要視されるでしょう。その場合「六本木ヒルズ」のような「読みにくい」文字は適切ではありません。そのためどうしてもデザインは保守的に成らざるを得ません。しかし、この「保守的」というのが非常にやっかいで、奇をてらったりできない分、本当の「文字の上手さ」が要求されます。完成度の高い文字を作ることは本当に大変です。しかし、「ヒカリエ」にはそこまでのクオリティはないように思います。個人的に感じたのは「Hik」の部分と「arie」部分で統一感がひまひとつだということです。最初の3文字は「直線的」で後の3文字は「丸っこい」ので、違和感を感じてしまうのです。

2012年1月18日水曜日

auロゴのリニューアル

既に色々なところで話題になっているようですが、auがロゴをリニューアルしました。ネット上の評判を見る限り、どちらかというと否定的な意見が多い印象を受けます。みなさんはどのように感じたでしょうか。ここでは、ロゴ自体の完成度とテーマ設定、ロゴリニューアルがもたらすであろう、ブランドイメージへの影響についての見解を述べます。




以前のロゴ




新しいロゴ



1.ロゴの造形について
クオリティは低くはないと思いますが、それほど高くもない印象です。筆記体風ではありますが、共通のエレメントの繰り返しで構成されており、以前のロゴよりも単純な造形と言えます。(図1参照)





黄色い部分の縦線・曲線と青い部分の曲線がそれぞれ共通のエレメント



以前の旧ロゴも今回の新ロゴも、既存のフォントでななく、オリジナル、もしくは既存のフォントを改造したもののようです。 旧ロゴは一般的なサンセリフ体(日本語でいうゴシック体)に近く、 新ロゴは書体というより「ロゴ」として絵的/記号的に作られた印象で、シンプルになっています。
個人的には、 旧ロゴの方が品質は高かったと思います。新ロゴはシンプルであるがゆえに、造形上の説得力を出すのが非常に難しいため、並大抵のことでは「すごいロゴ」にはなりません。旧ロゴは既存のサンセリフ体を改造して作ったように見え、文字としての完成度は新ロゴより高いと思います。また、新ロゴは小さく使うと個性に乏しく、ちょっとダサく見えます。


―2.リニューアルの狙いとリスク
一般的に「携帯電話会社ってロゴをコロコロ変えすぎ」という感想を抱く人が多いのではないでしょうか。私もそう思います。では、なぜこんなに頻繁に変えるのでしょうか。auのウェブサイトを見ると、とても単純な理由が読み取れます。それは新商品の発表会における話題作りです。この発表会における「auは変わります」というメッセージの象徴として、リニューアルしたロゴというのは非常にわかりやすいアイコンとなるのです。
ですので、ロゴ自体の品質はともかく、「新しくなった/変わった」という印象を世間に与えることにある程度成功していると思います。
しかし、日本の携帯電話会社は誕生から今までずっとこの調子でロゴを変え続けています。本当にこれでよいのでしょうか。世間はそこまで新奇なものを求めているのでしょうか。私としては、携帯電話のようなインフラに関わる会社には、それよりも「揺らぎのない品質」や「確固たる信頼感」の方が求められているように思います。ロゴをコロコロと変えてしまうと、ブランドとしての信頼感は薄れます。例えば、電力会社やガス会社がロゴをコロコロ変えていたら、どうでしょうか。少し怖い気がしませんか。大手銀行は、統廃合を繰り返すことでロゴが変わり続けましたが、ロゴのせいだけでないにしろ、信頼感は下がっているように感じます。ルイ・ヴィトンやシャネルが10年でロゴを3回変えたら、それでも欲しくなるでしょうか。このように、ロゴを変えるということには、それなりのリスクがあるのです。それでも変え続けるのには、そうせざるを得ない理由があるのでしょう。他社との競争のなかで少しでも目立たなくてはいけない、という強迫観念がその理由の一つだと思います。

私は、ドコモのロゴのリニューアルは失敗だったと確信しています。ロゴの品質が下がったばかりではなく、以前のロゴが打ち出していた「信頼感」を損ねるデザインだったからです。ドコモは、ロゴデザインの変更をしたことで、失ったものが大きかったと言えます。それに比べれば、auのロゴリニューアルが失うものはそれほど多くないと思います。



●au(リニューアル)

造形:★★★☆
テーマ表現:★
汎用性:★★★

※5点満点


【関連記事】
携帯電話会社のロゴを比べてみる(2010/3/31)





2011年11月21日月曜日

東京都美術館の新ロゴ

今回取り上げるのは、先日発表された「東京都美術館」の新ロゴです。デザインを担当したのはデザイナー/アーティストとして活躍されている吉岡徳仁氏。一般的にはauの携帯電話のデザイン等、プロダクトのデザインで有名です。しかし、吉岡氏はグラフィックデザイナーではないので、ロゴの制作者としては、畑違いと言えます。





さて、このロゴを見て皆さんはどのように感じたでしょうか? 「シンプルでカッコイイ!」とか、「すっきりしていて良い」、あるいは、「え?これだけ?」、といった感じでしょうか?
私はこれを見て「よくも悪くも、わかりやすいかっこよさがある」「色のチョイスにセンスがある」と感じました。最初の「よくも悪くも・・・」というのをもう少し突っ込んで言うと「一見かっこよさげだけど、本来ロゴとしての完成度が高いわけではない」ということです。詳しく解説します。

まず、一見かっこよさげなのは、シンプルな立方体と、心地よい字間のある「東京都美術館」の文字の組み合わせが、吉岡氏の得意とする「ミニマルの美」を感じさせるからだと思います。携帯電話などの有名なプロダクトに限らず、吉岡氏のアート作品などでも、シンプルさや透明感を感じさせる、息をのむような美がそこにはあります。そのような吉岡氏の作風は、このロゴにもそれなりに表現されています。
しかし、私がどうしても気になるのが、「東京都美術館」の文字部分です。この文字はMacユーザーにはおなじみの「ヒラギノ角ゴシックW3」というフォントです。Macを買えば標準で付属しています。「ヒラギノ角ゴシック」は確かに完成度の高い書体ではありますが、そのまま組んで完成度の高いロゴになると言うことはあり得ません。これはどんなに名作の書体にも言えることですが、一般的に書体というものは文章が美しく見えることを前提に設計されます。特に明朝体・ゴシック体のようなスタンダードな書体ほどその傾向が強いのです。ロゴとしてそのまま利用するには無理が生じます。そのため、グラフィックデザイナーがロゴを作るときは、文字を描き起こすか、既存の書体を使う場合であっても、文字の組み合わせにおいて最も美しく見えるように、各文字をカスタマイズします。
書体の選択も本当にこれがベストなのでしょうか? 「ミニマルさ」を表現するためにスタンダードなゴシック体を選んだのだと思われますが、「ヒラギノ」が「ミニマルさ」を表現するのに適したゴシック体なのか。下の英語フォントはそれが表現できていると思いますが、ヒラギノは書体を構成する各パーツはけっこう複雑で、下のシンプルな英語文字とも合っていないように思います。
一時的なキャンペーンロゴとして使用する前提なら、「ヒラギノ」をそのまま使うのも「アリ」かもしれません。しかし「東京都美術館」のような公共性の高く、長期の使用が前提であればこのような文字部分の細部にもこだわるべきでしょう。


全体としてはかっこいいので、上記のような欠点のため実に「惜しい」ロゴと言えるでしょう。せめて文字部分は文字専門のデザイナーに外注したほうがよかったかもしれません。このような、細部の完成度の低さはそのままロゴ自体の寿命に反映されます。「かっこいいのに完成度が低い=時代性によって風化しやすい」のです。たぶん、このロゴは10年以内に変更されると思います。


●東京都美術館

造形:★★★
テーマ表現:★
汎用性:★★★

※5点満点

2011年9月21日水曜日

クールジャパンのロゴ「JAPAN NEXT(佐藤可士和)」

久しぶりに、話題性のあるロゴが発表されました。「クールジャパン」ロゴです。日本文化を海外に向けて発信する、経済産業省による「クールジャパン戦略」で用いるためのものです。






このロゴは、佐藤可士和氏のデザインによるものです。さて、ここでわざわざ今一番の売れっ子である、佐藤可士和氏のデザインについて言えることはあるのでしょうか。賞賛するにせよ、批判するにせよ、どちらにしても「お前が言うな」との批判を受けかねません。メジャーなものを批評するのは、外部に溢れている情報の影響を否定できず、意外に難しいと感じます。twitterや掲示板等でもすでにこのロゴは話題になっており、「今さら感」も強いです。

しかし、いろいろ悩んだ結果、簡単な感想と分析は試みようと思います。ロゴの出来についてはあえて批判的なことは書きません。ですが、本記事をよく読めば私の考える「すごいところ/欠点」は読み取れると思います。


1.ロゴの「時代性」
このロゴを見たときに、すぐに感じたのは「時代性」です。良くも悪くも「今どきっぽい」と思いました。とにかく80年代までの「造形に凝りまくった」ロゴとはまったく逆方向のベクトルを向いています。「CIブーム」の80年代まではとにかく凝ったロゴが多かったと私は考えています。「凝った」とは、「デッサン力・絵の上手さ」を主張する造形です。80年代に造られた有名なロゴの造形は、デッサン力がないと絶対に辿りつけない形のものばかりでした。しかし、それらは一部の名作を除けば、今から見ると(良し悪しは別として)「ダサく」見えるものが多いです。そのため、「昔は良かった」ということではありません。その後、90年代、00年代と時代を経るに従って、「シンプルさ・簡単さ」を感じさせるものが流行しはじめ、現在は「すこし外した感じ」が流行しているように感じます。

「クールジャパン」ロゴもこの流れの中にあるデザインだと思います。税金を使った公共性の高いロゴなので、「時代に合っていること」そしてそれゆえに「文句が出にくい」ことは、重要です。
「時代性」という観点から見ればこのロゴは、「古臭くなく、チャレンジしすぎず」という点で、適切なデザインコンセプトだったのではないでしょうか。


―2.ロゴの「品質」
「誰にでも作れそうなシンプルな造形」であるからといって、簡単に作れるわけではありません。このロゴは見た瞬間にそれなりの「説得力」を感じます。ということは、手間をかけて微調整を繰り返した結果だと言えるでしょう。ロゴマークを構成する、丸の大きさやスピード線の太さや尖り具合などは、微調整を重ねた結果だと考えられます。
下の「JAPAN NEXT」の文字はユニバースというとてもポピュラーなフォントだと思われますが、たぶんロゴ用に一文字一文字微調整をしていると思われます。ウェブでの画像では、細かいところまでは判別できませんが。フォントの選択については適切だったと思います。マークにも合っています。
全体として「一流のデザイナーが作った」という品質は有していると思います。


3.このロゴは「クール」なのか
このロゴの評判を見ると、「クールじゃない」という批判を多く見ました。しかし、「ではどうすればクールになるのか?」「何がクールで何がクールでないのか?」という問いにはっきりと答えられる人はほとんどいないかと思われます。特に価値観が多様化している現在、そもそも「クールジャパン」という言葉自体に「ダサさ」を感じる人も多いでしょう。ですので、どんなに歴史的な名作ロゴをここに持ってきたところで、見た人が「クールじゃない」と言ってしまえば話はそこで終わってしまいます。俗な例えをすれば、芸人が「何かおもしろいギャグやって」とムチャぶりされるのと同じで、誰がやっても結果はあまり変わらないと思います。「クールか?」という問いには、それぞれ好きなように感じてもらえばよいのではないでしょうか? 私なら「まあ、クールだと思うよ」と答えます。あと、文字部分を「COOL JAPAN」でなく「JAPAN NEXT」としたのはよい判断だったと思います。


4.選考の問題
さて、ロゴ自体については特に批判するようなところはなかったのですが、このロゴが選ばれた経緯については非常に疑問があります。政府からの発表では、「全99案の中から、関係府省および有識者による絞り込みを経て、野田佳彦内閣総理大臣が判断」とあります。さらに「ロゴ・メッセージを7月26日から8月15日までの21日間で公募」とあります。
これには違和感を感じました。まず、今回のロゴの決定が「公募」であった点です。公募とは辞書によれば「広く一般から募集すること」とあります。それなのに、こんなに大きなコンペに全部で99案しか集まらなかったのには、疑問を感じます。本当に「広く一般から」募集したのでしょうか? すくなくとも私はこのような公募があったことは知りませんでした。「99案」ということは99人以下しか応募していないことになります。一人10案提出したら、応募者は10人程度です。有名デザイナーだけに声をかけた、「指名コンペ」だったんじゃないの?と勘ぐりたくもなります。個人的には公募がよいとは思ってませんので、指名コンペならそのように発表すればよいのに、なぜ「公募」と言ったのでしょうか。「公募」と言わないと国民からクレームがつくからでしょうか? よくわかりません。誰でも応募ができる「公募」に佐藤可士和氏のような超有名デザイナーが応募するのかも疑問です。

このロゴの募集に関する経費は税金が使われているので、選考過程や99案の内容、(指名コンペなら)参加したデザイナーなどもオープンにして欲しいです。今時トップダウンで「これに決まりました」では国民は納得しないでしょう。

2011年9月1日木曜日

mixiのロゴリニューアル

すでに報じられている通り、mixiがロゴをリニューアルしました。
以下、mixiからの発表です。


 【ロゴリニューアルポイント】 

 ・従来ロゴは、タイプと吹き出しマークがセットになっていましたが、

  新ロゴはそれぞれ単体で独立しています。 

 ・従来のロゴと比較し、PC、モバイル、スマートフォン等の様々なディスプレイで

  輪郭が鮮明に表示されるよう直線的な書体へ変更いたしました。 

 ・吹き出しロゴマークは、他のサイト等で利用される機会が増えたことを考慮し、

  多様なカラーと調和しなじみやすいナチュラルな色に変更いたしました。 




印象としては、「今っぽいけど新しくない、無難なデザイン」という感じでしょうか。
若い女性向けのフリーペーパーや、安めのファッションブランド、若者向けのカフェなどに使われそうなロゴです。一昔前に流行した「エコ」や「ロハス」を感じさせるナチュラルでクリーンなデザインだと思います。mixiのユーザー層を考えると、ロゴの方向性としては間違っていないのではないでしょうか。


しかし、疑問を持たざるを得ないのは「こんなに早くリニューアルする必要があったのか」ということです。従来のロゴに変わってから、そんなに経っていませんし、ようやく定着してきたロゴを、個性を感じさせないシンプルなデザインに変えてしまうことは、ブランディング上得策ではないと思われます。


特にイメージカラーを変えてしまったことはマイナスです。ユーザーのなかでは「mixiといえばオレンジ」というイメージが強く植えつけられていたと思います。これはブランディングとしては大成功です。それなのにそのイメージを簡単に捨ててしまうのはもったいないことです。確かに、過去の成功をきっぱりと捨てることも時には必要でしょう。しかし、その場合はより良いものを提示しなくてはなりません。


「今回のリニューアルによって、ロゴのクオリティはアップしたか?」と問われれば、私なら「クオリティとしては、上がっても下がってもいない」と答えるでしょう。しかも、今回のロゴはシンプルであるがゆえに、ごまかしがきかないデザインです。ロゴというものは、シンプルであるに越したことはありません。しかし、シンプルさを追求しつつ、個性を感じさせるデザインを作り出すことはとてつもなく難しいことです。
今回のmixiのロゴは、そういう観点において成功しているとは言いがたいです。


しかも現在、携帯やスマートフォンなどの小型端末のディスプレイ解像度はどんどん上がっていて、表現の可能性は進歩しているのに、「様々なディスプレイで輪郭が明確に表示されるように…」という理由は到底理解はできません。(この理由は後付けなのかもしれませんが…。)




色々と批判めいたことを書いてしまいましたが、悪いロゴだとは思いません。
結論としては「リニューアルしたことで特に得るものはない。ブランディングの観点からはちょっとマイナスになる」という程度のものだと思います。





●mixi(リニューアル)

造形:★★★

テーマ表現:★★☆
汎用性:★★★

※5点満点

2011年7月8日金曜日

Panasonicのロゴが2種類?の謎

最近トイレのウォシュレットを買い換えたのですが、先日トイレに入ったときに「Panasonicのロゴってこんなのだっけ?」と少し違和感を覚ました。というのは、いつも仕事で使用しているFAX機がPanasonic製なのですが、FAXに表記されているロゴとウォシュレットのロゴが微妙に違うと感じられたのです。


 
 (左:ウォシュレット / 右:FAX機)



明らかにFAX機のほうが文字と文字の間隔が広いのが認識できると思います。(文字の太さも違うように見えますが、これは印刷機などの差だと思います)
ウォシュレットとFAX機では買った時期が違う(FAX機を買ったのは2年ほど前)ので、最初はロゴを「マイナーチェンジ」したのかと思いました。大企業のロゴは時代の志向に合わせて普通には気付かれない程度のマイナーチェンジをすることが珍しくないからです。
そこで、とりあえず身の回りのものをいくつか調べてみました。

   
 
 (左:ビデオのリモコン[2002年製]/ 右:ニッケル充電池[00年代前半に購入])


   
 
 (左:ボタン型電池[2004年頃購入]/ 右:上記FAX機の取扱説明書[2009年製])



やはり、文字の間隔が「くっつき型」と「はなれ型」の2種類があるようです。この場合、「はなれ型」はボタン電池のみです。興味深いのはFAX機で、本体のロゴが「はなれ型」なのに取扱説明書は「くっつき型」であることです。
しかも、このことで、ロゴデザインの違いが年代による違いではないことが確認できました。古いビデオのリモコンやニッケル充電池のロゴも「くっつき型」なので、「古いロゴがはなれ型」とうことではないようです。

さらに、近所のPanasonicショップの看板を確認したり、大型電気店でPanasonic製品をひと通り確認してみました。その結果、全体としては「くっつき型」が主流のようです。ジャンル別の商品カタログに使用されているロゴや、店内のPOP、ウェブサイトのロゴも「くっつき型」です。




左:Panasonicショップ / 右:カタログ)



               ウェブサイト




それでも例えば、同じ電池でも「EVOLTA」シリーズは「くっつき型」、カメラ用のリチウムイオン電池は「はなれ型」だったり、家電でも洗濯機は「くっつき型」で、電話やFAX機は「はなれ型」、電気ポットも「はなれ型」、テレビは「くっつき型」などの違いがあり、「2種類のロゴを意図的に使い分けている」という意図や法則性は感じられませんでした。

考えられる可能性としては、製造/印刷工場によって違いが生まれている、ということです。通常、大企業においてはロゴの使用方針などが厳格に定められていますが、一部の工場ではかなり古いロゴ(たぶんはなれ型)を気づかずに(もしくは、製造ライン上のコストの問題で?)使用し続けているのだと思われます。確認はできていないのですが、「はなれ型」の方が古いロゴで、しかもそれは少なくとも十数年以上前のものだと推察できます。これについては、分かり次第この場でお知らせしたいと考えています。




身の回りのものに目を凝らすと、このような小さな発見(でも色々な背景が想像できる)があるかもしれません。ちょっと注意してロゴを見てみると面白いですよ。


2011年5月16日月曜日

東京電力のシンボルマーク

今回は久しぶりに名作ロゴを取り上げます。


現在、ニュースを賑わしている「東京電力」です。






このロゴ(シンボルマーク)は、プロのデザイナーであれば知らない人はいないほど有名な名作ロゴのひとつで、デザインの教科書にはかなり高い頻度で取り上げられています。デザインをしたのは巨匠永井一正氏。国家事業や巨大企業、県や市町村のマークなど、数多くの有名ロゴを手がけています。そのなかでも、東京電力のマークは最高傑作のひとつでしょう。構成要素が円だけでここまでのインパクトと造形美を感じさせるロゴマークはなかなかありません。


さて、このシンボルマークについて「このマークは中性子とウランの核分裂反応をあらわしている」という噂がネットの書き込みで見られました。その書き込みを転載しますと、



>テプコマークは中性子とウラン原子の核分裂反応
>を模式的に表しているんだよ
>ちょっと物理をかじってればわかるよねw

>下の大きな赤マルがウランで白抜きの丸が
>中性子の抜けたあと
>上の3つの赤マルは、1つはウランにぶつかった中性子
>後の2つが、ウランから飛び出した中性子
>昔はその通りに経過を表したアニメーションでCMもやっていた


ということです。私は、知人から「これ本当なの?」と聞かれました。
この噂の内容はけっこう説得力があるので本当に「そうなのかな」と思わせられてしまいます。アニメーションのCMも動画投稿サイトなどで見ることができます。そこで、手持ちの資料をあたってみると、『VISUAL DESIGN2 Typography & Symbol Mark』(JAGDA編/六耀社刊/1993)と『+DESIGNING』11号(毎日コミュニケーションズ刊/2008)にシンボルマークの制作経緯が載っていました。


より詳しく載っていたのは『VISUAL DESIGN2』の方で、製作者である永井氏自身の解説とともに、不採用となった試作案も同時に掲載されています。


「…円の組み合わせによって構成されているが、円は柔軟な心、環境との調和、未来への広がりを表わし、マークの色彩は真紅とし、活気、親しみやすさ、明るさを表わした。全体として東京電力の総合力、ダイナミズムを表現できたと思う。」(『VISUAL DESIGN2 Typography & Symbol Mark』)



試作案『VISUAL DESIGN2 Typography & Symbol Mark』より転載



解説と試作案を見ると、必ずしも最初から「核分裂反応」を意識して作ったものではないことが分かると思います。使用されている円の数もそれぞれ違います。

『+DESIGNING』の方にはこのように解説されています。(記事の内容から、マークについて永井氏に直接取材をして書かれた解説だと推察される)

「…6つの円形(人間同士のつながり=輪を思い起こさせる)を東京電力の頭文字である「T」のかたちに配置。赤を基調にすることで、表情に温かみが加わった。」(『+DESIGNING』11号)

つまり、これらの資料からは、上記の噂が本当であることは確認できませんでした。
すくなくとも公式発表としてはそのような情報はなかったと言えるのではないでしょうか。

しかし、これらの情報はあくまで公式の発表なので、実際のところはどうかはわかりません。いろいろ憶測はできますし、マークが発表された当時の文献や東京電力の原子力関連のPR活動等などを調べれば、もっと詳しい情報がわかるかもしれません。

仮に、上記の噂が本当だったとしても、マークそのものは歴史的な名作であるという事実は変わりません。



造形部分について少し解説しますと、真ん中の白い丸と上部の赤い丸の大きさが違うように見えます。白い丸のほうが大きく見えますが、実勢に計測してみたところ、同じ大きさの円のようです。通常、大きさを揃えたい場合は、目の錯覚を考慮して、どちらかの丸の大きさを微調整して同じに見えるようにすることが多いです。そうしていないということは、白い丸が大きく見えている状態がよい、という判断がされている可能性があります。確かに、丸の大きさではなく、赤と白の全体のバランス・緊張感に着目してみると、白丸が大きくみえる状態のほうが力強さを感じさせると思います。

2011年4月19日火曜日

たまにはサブカル系も〜『とある魔術の禁書目録(インデックス)』

本ブログは、取り上げる内容に特に制限はなく、要望があれば大抵のロゴについて解説するというスタンスです。ただ、そのロゴ自体にあまり語るべき要素が見つからないときは見送ることもあります。映画や漫画、アニメなどに関しては以前からけっこう要望があったのですが、個人的に語るべき内容が思いつかなかったので、見送ってきました。単に「良い・悪い」だけを述べてもおもしろくないと思いますので・・・。


先日、下のシリーズもののアニメ作品のロゴについてどう思うか、聞かれることがありました。





ロゴの造形自体についてはあまり語るべき事はあまりないと思ったのですが、面白いと感じたのはこれらのロゴの二次創作がネットなどで流行しているということです。

先にロゴ自体のデザインについて解説すると、品質自体は高いとは言えません。使用書体は「小塚明朝体B」を加工したのもです。品質上一番問題となるのは、元の書体の加工方法です。一般的に既存書体を加工してロゴを作るときは、その文字が本来持っている品質をなるべく維持することが前提となります。しかし、このロゴは「小塚明朝」を縦横に自由に大きく拡大縮小してしまっているため、明朝体を構成する直線・曲線に無理が生じてしまっています。このような雑な加工をすると、文字全体が持っていた統一感やバランスが大きく崩れます。もし、加工をするのであれば、文字の各要素(線やハネ、ハライ等)一つずつを無理のない様に手間を掛けてひとつひとつ手を加えていきます。まあ、そこまでやる時間がなかったのかもしれません。

同シリーズの下記ロゴは、文字の比率を変えていないようですので、上記のような問題はありません。




これらのロゴは、上記のようなプロセスによって、けっこう安易にに作られたため、二次創作がつくりやすいという側面があります。もしかして、そういうことを狙って作ったロゴなのか…?とも思ってしまいます。そんなわけで、とりあえずロゴそのものを真似して作ってみました。





下のカタカナ部分は「小塚ゴシックB」です。「小塚書体」はIllustrator等のAdobe製のプロフェッショナル用ソフトを買えば付いてきますので、他のプロ向け書体と比べれば比較的手に入れやすいと言えます。各文字の変形の割合を記しておきますので、興味のある方は二次創作の参考にしてみてください。ウェブ上の画像を元にしたので、100%正確ではないかもしれませんが、ほぼ正確なものが作れるはずです。


※「の」を100%ととした場合の各文字の変形度合い

「と」――横:125% 縦:125% 
「あ」――横:  75% 縦:  75% 
「る」――横:  60% 縦:  60% 
「魔」――横:100% 縦:115% 
「術」――横:  85% 縦:105% 
「禁」――横:105% 縦:  85% 
「書」――横:  85% 縦:  95%
「目」――横:  95% 縦:  93% 
「録」――横:115% 縦:  77% 
「II」――  横:170% 縦:120%


「二次創作してみたくなるロゴ」を狙って作るのも、マーケティング的にはアリなのかもしれません。


※ちなみに筆者は、このアニメを見たことはありません。あくまでロゴだけを見たときの解説としてご参照ください。



●とある魔術の禁書目録

造形:★
テーマ表現:★
汎用性:★★

※5点満点








2011年3月28日月曜日

Google Chrome ロゴリニューアル

先日、Google Chromeのロゴがリニューアルされるとの発表がありました。



以前のものにくらべ、平面的になり、シンプルになりました。
それでも、グラデーション処理や影がつけられていて、立体感がまったくなくなったわけではありません。これまでのロゴとくらべて、完成度はどうでしょうか。


これまでのロゴは、はっきり言って全然よいとは思いません。ちょっと未来的なメカを感じさせるのに、かっこよくないし、質感に説得力がありません。
質感に関しては、デジタルで制作するときには気をつけるべきです。なぜなら、デジタルで制作する場合、「この世に存在しない材質」も画面上で作れてしまうからです。「そんなのデジタルならではの良さなのでは」と思う方も多いかと思います。しかし、人がそのデジタル制作物を見るときに「存在しない材質」には必ず違和感を感じます。Chromeの旧ロゴの質感にも違和感を感じないでしょうか。このロゴが表現している材質は「金属」なのか「プラスチック」なのかよくわかりません。真ん中の光っているものは、もっとわかりません。たぶん、制作した人も明確には答えられないと思います。「何なの?」と聞かれたら「なんとなく」と答えが返ってきそうです。もし、何かをモチーフとしていたとしても、はじめて見た人には分からない以上、それは完成度・説得力が高いとは言えません。

では、リニューアル後のロゴはどうでしょうか。個人的にはだいぶましになったと思います。シンプルになってより「記号的」になったために、質感についての違和感はかなり払拭されました。しかし、中途半端な半立体的処理はよくないと思います。ちょっと一昔前に流行ったweb2.0的な感じがして、「いまさら感」がとても感じられます。
ソフトウェアのアイコンである以上、ある程度の立体的処理は仕方ないと思います。OS自体が画面の奥行きを意識した、設計であるからです。しかし、立体にする以上は、質感の説得力がとても大切になります。
Chrome自体は優れたソフトなので、ちょっともったいない気がします。



●Google Chrome(リニューアル後)

造形:★☆
テーマ表現:★
汎用性:★★

※5点満点

2011年3月2日水曜日

facebook(フェイスブック)のロゴ

本ブログでは、評価の定まっているロゴではなく、なるべくタイムリーな話題を提供したいと思っています。ということで、今一番ニュースを賑わせている「facebook」のロゴについて解説してみたいと思います。



まずは、このロゴの元となったフォントを調べてみたところ、
Klavika Boldが一番近いようです。



ただ、よく見ると太さが違うので、このフォントをそのまま使用したのではないことがわかります。つまり、このロゴを作るときに文字を太らせる処理をしていることになります。
さらに「a」の一画目が調整されています。


「f」と「a」の横画が一直線上になるような処理がなされていることが確認できるかと思います。「a」の起筆部分の角度も「f」の横画と平行になるように調整されています。
「f」と「a」のような文字が隣り合う場合、ロゴとしてのまとまりを出すために、このような処理がなされることは普通です。
既存のフォントをそのまま使用したように見える一見簡単そうなロゴでも、実はこのような細部の調整が施され、完成度を上げているのです。

全体の完成度としては、プロが作ったロゴとしての品質は備えていると言えるでしょう。

個人的な感想としては色遣いも含めて「アメリカ人のオタク」っぽい感じがして、
「ダサい」と感じます。しかし、それこそが「facebook」の本質なのかもしれません。
そのへんの所はまだ見ていない映画「ソーシャルネットワーク」を見て確かめたいと思います。



●facebook

造形:★★
テーマ表現:★
汎用性:★★★★

※5点満点

2011年1月31日月曜日

スターバックスロゴのマイナーチェンジ

今回は比較的最近の話題を。
「スターバックス」ロゴのマイナーチェンジについて
解説してみたいと思います。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-18899520110106
報道によると、本国では否定的な意見が多いとのことでした。



上の図は、スターバックスのサイトに掲載されていた、ロゴの変遷図です。
初期の2つについては、人魚の尻尾部分がちょっと「グロい」と感じさせるし、
イラスト部分の認識性が低い(細かすぎる)ため、後期の2つとくらべて
よいデザインであるとは思いません。

さて、問題は先日の報道で話題になった後期の2つです。
個人的には今回の「否定的な意見が多い」ということに関しては、
前回のエントリで書いたように「慣れ」の問題であり、もうすこし言えば「愛着」の
問題であると考えます。


新しいロゴに変えることで、以下のような利点があると思います。

・シンプルになって、デザインが洗練された
・汎用性がかなり高くなった(状況に応じて「COFFEE」の文字を入れることもできるし、入れないこともできる)
・コスト削減効果(2色→1色 ※リニューアルに伴う初期費用を考えても、長期的に見ればかなりのコスト削減になる)


基本的な原則として、大企業ほど汎用性の高いロゴが求められます。私も学校で講師(巨匠クラスのデザイナー)から「企業ロゴ・シンボルマークは名刺に使う数ミリの大きさから、数十メートルの看板にも使えるものでなくてはならない」と教わりました。これが、大企業のロゴ・シンボルマークがシンプルであることの多い理由です。そしてシンプルゆえに、ごまかしのきかない高い造形力が必要になるのです。


●スターバックス(リニューアル)

造形:★★
テーマ表現:★
汎用性:★★★☆

※5点満点





2011年1月28日金曜日

久々の更新〜GAP騒動について

少し古い話題ですが、今回は「GAP」ロゴリニューアル騒動について
考えてみたいと思います。

たいていの場合、大企業のロゴリニューアルに関する賛否両論は「慣れ」の問題が
大きく、ロゴそのもののクオリティの低下ではないケースが多い印象を受けます。

いかに先入観を取っ払って、見ることができるか。
それができなければデザインの品質を正当に評価することは不可能です。

ただし、デザインにおいて「時代の空気感」は重要な要素なので、
純粋なデザイン品質を理解したうえで、「今の人々にどのように映るか」を
適切に判断することが必要なのです。

さて、それらを踏まえたうえで「GAP」のロゴを見てみましょう。
右が今回ブーイングによってボツになった、新ロゴです。



一見してわかる違いとして、「新しいロゴの方が書体に個性がない」と思われることが
挙げられると思います。新ロゴの書体は、世界で一番使用されている書体、
ヘルベチカです。
現行ロゴの方は、既存のフォントの可能性もありますが、オリジナルの書体かもしれず、
他で見ることがあまりない書体です。
ヘルベチカは有名企業のロゴでもかなり頻繁に使用されていますし、
その汎用性と美しさにより、デザイナーから最も評価の高い書体のひとつです。

ですので、新ロゴの問題は書体の品質の問題ではなく、書体の扱い方の問題と
言えるでしょう。

はっきり言ってしまえば、「GAP」ロゴの問題は、プロがいちいち指摘することもなく、
単に「安直」で「誰にでも作れそう」なものだったので、ここまでのブーイングを
浴びたということです。

新ロゴは「汎用性」という点では優れていますが、「個性」「デザイン品質」が
あるとは思えません。ダメなデザインとまでは言いませんが・・・。
ヘルベチカはMacに搭載されていますから、学生でも作れてしまいそうです。

今回に関しては、新ロゴをボツにして正解だったと言わざるを得ません・・・。
かといって、現行ロゴが「名作」かと言われれば、そうではないと思いますが・・・。


●GAP(現行)

造形:★★
テーマ表現:★
汎用性:★★★

※5点満点

2010年7月4日日曜日

ITサービスのロゴ1 〜Android

すっかり更新が滞ってしまいました。
本業が忙しかったということもありますが、どのロゴを取り上げるか迷っているうちに、時間が経ってしまったということもあります。過去の名作を取り上げるのは簡単なのですが、それだと専門書がたくさん出ているので、いまさらここで紹介しても面白くない、と思ってしまいます。できればまだ評価の定まっていない、タイムリーな話題を提供したいと考えています。それにしても良くも悪くも議論したくなるような、ロゴって最近少ないですね。

さて、今回取り上げるのは今話題の携帯端末用OS「Android」のロゴです。


はっきり言って全くよくありません。
googleは、今や世界トップクラスの資金力を誇る会社だと思うのですが、なぜいつもこういうことに予算を掛けないのでしょうか。まあ、誰がデザインしたのかは知りませんので、お金が掛かっているのかは実際にはわかりませんが。(本ブログは「予備知識なしでいかにデザインの批評ができるか」を目的の一つにしているので、あえて調べてません)
そういえば、google自体のロゴも最初のバージョンはかなり不細工でした。








このロゴは、創業者自身がデザインしたものだそうなので、完成度が低いのは仕方がないでしょう。現在のロゴは格段に品質が高くなっています。
Androidのロゴも、デザインの素人が作ったのだとしたら、なかなか上手いといえます。不格好ではあるけれども、シンプルで汎用性があります。

google自体の企業文化は各方面で高い評価を受けている印象がありますが、なぜデザインはこのレベルなのか。googleの各種サービスのアイコンを見渡してみても、全体的に今ひとつです。本当に不思議でなりません。





●Android

造形:★★
テーマ表現:★
汎用性:★★★

※5点満点


2010年5月25日火曜日

00年代以降のロゴデザイン傾向〜東京スカイツリー

最近80年代のデザインが気になっています。というのは、最近のデザインの方向性とは正反対だからです。以前古本屋で購入した『現代世界のグラフィックデザイン(全6巻)/講談社』という88〜89年にかけて発行された全集を開くと、とにかく主張が強いデザインが多いのが目につきます。それが現在でも活躍する巨匠の作品であっても、今だったら採用されないようなデザインも多く、とても興味深いです。そして、デザインにとって「時代の空気」がいかに無視できないかを痛感させられます。現在と比較したときの、80年代デザインの特徴は、以下の点が挙げられると思います。




(80年代/00年代以降)
線:太い/細い
色彩:原色(メリハリ強い)/中間色(調和重視)
レイアウト:かっちり・高密度/ゆるやか・低密度


以上は見た目の特徴ですが、80年代はとにかく「目立つ」ことに重点が置かれていたと思います。個人的には、00年代以降の「ゆるやか」なデザインの流行はすでに終わり始めていると思っていますので、80年代のデザインは今後のデザインの上でとても参考になります。


さて今回取り上げるロゴは今話題の「東京スカイツリー」です。




これは典型的な「00年代デザイン」だと思います。つまり「最高に無難なデザイン」だということです。つまり「誰からも文句が出ないデザイン」であり「誰もが見慣れたデザイン」です。東京スカイツリーのような公共性の高いものに関しては、最近では「市民目線」での文句が出やすいため、このようなデザインになったのはある意味仕方がないと思います。デザインの質については飛び抜けたところはないですが、うまくまとまっていると思います。ただ、スカイツリーが完成する頃にはちょっと時代遅れなデザインとして受け止められる可能性があります。





●東京スカイツリー

造形:★★★☆
テーマ表現:★
汎用性:★★★

※5点満点

2010年5月14日金曜日

読めないロゴについて考える〜六本木ヒルズ

よいデザインとは何か?
それは教科書的に言ってしまえば、「造形」「コンセプト」両方においてすぐれたものだと思います。

デザイナーにおいて「造形」のクオリティに関しては、ほぼ共通した認識を持っていますが、「コンセプト」については人によって違うことがあります。これは「よいデザインは何を目指すべきか」という答えが、デザイナーによって違うからです。わかりやすい例を挙げると、


「よいデザインが目指す目標とは」

・美術館などに永久保管される、高い文化的な価値
・売れる、大きな金銭的利益を生み出す
・イメージアップする
・信頼性・ブランド力を高める
・派手でインパクトがあって、目立つ、流行する

など様々です。


前置きが長くなりましたが、今回取り上げるロゴは「六本木ヒルズ」です。





このロゴが発表されたときは、いくつかのデザイン雑誌で取り上げられ、それなりに話題になった記憶があります。海外の有名デザイナーの作品だったはずです。
私はこのロゴを最初に見たとき「こんな読めないロゴタイプをよく採用したな」と思いました。
そして、学生時代に受けた外国人講師のある授業のことを思い出しました。その外国人講師は日本企業に勤めるデザイナーで、最初の授業のときに自分がこれまでに手がけた作品を見せてくれました。そのなかに、この六本木ヒルズのロゴタイプと似たようなコンセプトのものがあったのです。何が似ているかと言うと、英語のロゴタイプで、それぞれの文字に欠けているようなデザイン処理を施したものだったのです。その講師はこのロゴタイプをわたしたちに見せながら「このロゴは、日本人には読みにくいと言われ、採用されなかったものです。欧米人なら普通に読めるんだけど」と言いました。確かに一瞬では読めないものでした。言われれば読めるのですが。

私の考えではやはり「一瞬で読めないロゴ」はよいデザインコンセプトだとは思えません。
ですので、最初に述べた「よいデザイン」に対する考え方がこのロゴ制作の関係者とは違うのです。どちらが正しいと言うことはないと思います。

ちなみに、よく知られていることですが、六本木ヒルズのロゴタイプは、色々なバージョンがあります。これらのバージョンがセットになっていることもコンセプトのようで、この考え方は斬新でおもしろいと思いました。ここに「読めないロゴ」が採用された理由があるのかもしれません。










●六本木ヒルズ

造形:★★
★★
テーマ表現:★

汎用性:★★

※5点満点

2010年5月5日水曜日

防衛省・自衛隊、そして裁判員制度

今回もリクエストいただいたロゴを取り上げます。「防衛省・自衛隊」です。

このロゴが決定したのは3年前くらいだったと思いますが、周囲の評判がとても悪かったのをおぼえています。公募コンペで選ばれたデザインだそうです。
千葉県のロゴの例を挙げるまでもなく、多数の意見に乗っかって批判することはとても簡単です。特に歴史的な評価や権威付けがなされていない、アート(音楽を含む)やデザインは、どうしても[それまでになかったようなもの][違和感を感じさせるもの][一見簡単に作られたようなもの]であればあるほど批判されがちです。そのような批判は、予備知識などなくても誰でもできます。しかしそれは業界にとってプラスになるとは思えませんし、ただの妬み・足の引っ張り合いにも見えます。逆に、歴史的な評価が定まっている「名作」「傑作」を批判するのは、「それがなぜよくないのか」を説得力をもって説明するのに専門知識や高度な美意識が必要なので、読むに値すると個人的には思います。

さて、上記のような考えを踏まえつつ、本ブログでこの「防衛省」のロゴをどう論じるのか。これはもう、冷静に長所・短所を挙げていくしかありません。理想を言えば、批判の嵐が吹き荒れているなかで、論理的な説得力をもって「これはすばらしい。傑作だ」と言えればよいのですが・・・。




まずは、マークの造形から見てみましょう。構成要素として、円と楕円のみで構成されています。「防衛省」という巨大な組織のマークとして、シンプルな要素だけで構成することはよいことだと思います。以前のエントリでも述べたように、巨大な組織であれば用途も多岐にわたるため、汎用性が高い方がよいのです。しかし、このマークには残念ながら汎用性が高いとは決して言えません。
問題は2点あります。まずは、カラーリングにグラデーション処理を使用していることです。グラデーションは印刷方法によってはきれいに出ないことがあるので、通常は避けることが多いのです。今の印刷技術は昔よりは格段に向上しているので、グラデーション表現を使用しても、場合によっては問題ないこともあります。それでも印刷媒体(例えば段ボールなど)によっては色が汚く出てしまうことがあります。
2点目の問題は、真ん中の輪っかの最細部分や、2つの円の周りにある緑色の線が細すぎることです。これも印刷によってはうまく表現されない(つぶれてしまう)ことがあります。

さて、ではロゴの設計思想(コンセプト)はどうでしょう。これは、現在自衛隊が置かれている難しい状況を考えると、誰も「答え」が出せないのではないでしょうか。そのため、一番クレームが付かないことを念頭に置いて、選出されたのではないかと思います。そのような消極的な姿勢で制作されたものには、かえって多くのクレームがつくことがあります。なぜなら、誰も満足しないからです。シンボルマークの隣の「防衛省・自衛隊」の丸ゴシック体もそのような考え方で選ばれたのでしょう。安直なエコブームを彷彿とさせるようなロゴだと思うのですが、いかがでしょうか。

これらの問題は、制作者にあるとは思いません。公募コンペはコストが安く、指名コンペよりは公平性があるので、利用したくなるのもわかりますが、その分主催者側の資質が問われます。安易な公募コンペで採用されたデザインには質の高いものは少ないと思います。

●防衛省・自衛隊

造形:★★
テーマ表現:★☆
汎用性:★★

※5点満点




奇しくも、裁判員制度のマークにも上記に論じた解説とまったく同じことが当てはまります。(これは公募コンペではないようですが)。こういうものが流行なのでしょうか。不思議です。











●裁判員制度

造形:★★
テーマ表現:★☆
汎用性:★★

※5点満点